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研究レポート No.032

理学療法士「辞めたい」と感じたら確認したい離職データと選択肢

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「患者さんは好きなのに、なぜかしんどい」「この働き方が一生続くと思うと不安になる」。そんな気持ちから「理学療法士 辞めたい」と検索した経験がある人は、決して少なくありません。

結論から言うと、理学療法士の「辞めたい」という気持ちには、職場固有の問題・1年目特有の悩み・将来への漠然とした不安という、性質の異なる要素が混ざっていることが多いです。この記事では、厚生労働省の公的データで理学療法士の働き方と離職の実態を確認したうえで、「今の職場で続ける」「分野を変える」「転職する」という選択肢を研究所が整理しました。

この研究レポートの目次

  1. 結論:「辞めたい」を3つに分けて、まず数字で現在地を確認する
  2. 理学療法士の「辞めたい」——まず厚労省データで働き方を確認する
  3. 「辞める人」はどれくらいいるのか——分野別・年代別の離職データ
  4. 1年目・若手が「辞めたい」「向いていない」と感じやすい背景
  5. 続ける・分野を変える・転職する——選択肢を整理する
  6. 転職を考えるときの、サービスの選び方
  7. まとめ
  8. 出典

結論:「辞めたい」を3つに分けて、まず数字で現在地を確認する

「理学療法士を辞めたい」という気持ちを感じたとき、研究所ではまず次の3点を切り分けて考えることをおすすめしています。感情のまま結論を出す前に、それぞれの性質が違うことを知っておくと、取るべき行動が見えやすくなります。

確認すること 見るポイント
今の職場・部署に固有の問題かどうか 人間関係や業務量など、異動や転職で変わる可能性がある問題かどうか
経験年数に伴う一時的な悩みかどうか 1年目特有の「できないことが多い」状態か、経験を積んでも変わらない不満か
心身の不調が背景にあるかどうか 疲労や不眠が続いている場合は、転職より先に医療機関・相談窓口への相談を検討する

この3つは、同時に「辞めたい」という気持ちの中に混ざって存在していることがほとんどです。次の章から、公的データをもとに理学療法士という職種の実態を確認していきます。

理学療法士の「辞めたい」——まず厚労省データで働き方を確認する

「辞めたい」と感じたときほど、自分の職場だけを基準に判断しがちです。まずは厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)で、理学療法士という職種全体の「相場」を確認しておきましょう。

項目 全国の値
賃金(年収) 443.6万円
平均年齢 36.2歳
月の労働時間 157時間
就業者数 202,540人
ハローワークの求人賃金(月額) 27.6万円
有効求人倍率 4.67倍

有効求人倍率4.67倍という数字は、求職者1人に対して求人が4件以上ある計算です。「今の職場を辞めても次がないのでは」という不安を持つ人もいますが、job tagのデータを見るかぎり、理学療法士という資格そのものの需要が急に途絶えるような状況ではありません。一方で、年収443.6万円という数字には賞与や経験年数の高い人の給与も含まれており、求人票の月給(27.6万円)だけを見ると、今の給与より低く感じられることもあります。

所長モヤ

所長モヤのひとこと

「辞めたい」と思ったときこそ、自分の職場の条件と、職種全体の相場を分けて見ることが大切です。相場を知らないまま辞めると、同じ悩みを次の職場でも繰り返しかねません。

「辞める人」はどれくらいいるのか——分野別・年代別の離職データ

理学療法士の離職率については、厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会」の理学療法士・作業療法士需給分科会(2016年8月開催)に提出された資料で、平成25〜27年の3年間をもとにした数字が示されています。

勤務分野 平均離職率
医療機関(全体) 10.2%
 うち高度急性期 6.8%
 うち急性期 9.4%
 うち回復期 10.7%
 うち慢性期 12.6%
介護福祉領域(全体) 18.8%
 うち介護老人保健施設 20.5%
 うち訪問看護 17.3%
 うち通所リハビリテーション 19.0%
 うち訪問リハビリテーション 37.4%

医療機関よりも介護福祉領域、特に訪問リハビリテーションで離職率が高い傾向が読み取れます。同じ資料をもとにした「理学療法白書2016」では、21〜25歳の理学療法士の離職率は16.5%と、全体平均より高い水準にあることも示されています。これは2016年時点のやや古いデータですが、若手の離職が構造的に多い傾向を示すものとして参照できます。

より新しい調査としては、厚生労働省が2024年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」があります。これは理学療法士に限らない産業分類「医療,福祉」全体の数字ですが、就職後3年以内の離職率は、大学卒で41.5%(全産業平均34.9%)、高校卒で49.3%(全産業平均38.4%)と、全産業平均より高い水準でした。医療・福祉分野は、理学療法士に限らず、若手の早期離職が比較的多い業界だということが公的データからも確認できます。

1年目・若手が「辞めたい」「向いていない」と感じやすい背景

「理学療法士 1年目 辞めたい」「向いてない」と検索する背景には、新人期特有の事情もあります。理学療法士・作業療法士需給分科会の資料では、日本理学療法士協会の調査をもとに、卒業直後の理学療法士の臨床レベルの推移が示されています。

卒業直後のレベル(協会調査) 2000年 2010年
独立して応用的業務が可能 52.8% 47.0%
多くの助言を要する 34.6% 42.7%

この資料では、養成施設数・入学定員が増加する一方で、新卒者の国家試験合格率が低下傾向にあることや、新卒者の臨床レベルについて「多くの助言を要する」と評価される割合が増えていることが、検討会の意見として取り上げられています。つまり、「1年目に自分だけができていない」と感じるとしても、それは個人の資質だけの問題ではなく、養成課程全体の変化とも関係している可能性がある、ということです。

将来性への不安も「辞めたい」「向いていない」という気持ちにつながりやすい要素です。同じ需給分科会が2019年4月に公表した需給推計(案)では、理学療法士・作業療法士の供給数は現時点ですでに需要数を上回っており、2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍になるという試算が示されました。これは「理学療法士が不要になる」という意味ではありませんが、今後は資格を持っているだけでなく、どの分野でどんな経験を積むかが、キャリアの選択肢を左右しやすくなる可能性を示すデータです。

所長モヤ

所長モヤのひとこと

1年目で「何もできない」と感じるのは、データを見るかぎり、あなただけの状態ではありません。向いていないかどうかを急いで結論づける前に、担当できる業務が増えていく実感があるかを、もう少し時間をかけて見てもよいはずです。

続ける・分野を変える・転職する——選択肢を整理する

「辞めたい」気持ちが続く場合、選択肢は「今の職場を辞める・辞めない」の二択だけではありません。理学療法士は病院の急性期・回復期・慢性期から、介護老人保健施設、訪問リハビリテーションまで、働く場が多岐にわたる職種です。

選択肢 向いている人 確認したいこと
今の職場で続ける 悩みが一時的・1年目特有のものだと感じる人 担当業務や指導体制が、時期を経て変わる見込みがあるか
同じ職場で分野・部署を変える 病期や施設の種類が合っていないと感じる人 院内異動や配置転換の相談が可能か
転職する 職場固有の問題が解消しづらい、または待遇面で希望と合わない人 急性期・回復期・生活期のどこで働きたいか、言語化できているか

理学療法士の転職市場そのものについては、研究所の別記事「理学療法士の転職サイトの選び方」でも、厚労省データをもとに詳しく整理しています。転職を考える場合は、「急性期がつらい」で終わらせず、「次はどの病期・どの場で働きたいか」まで言葉にしておくと、相談先とのやり取りがスムーズになります。

なお、心身の不調が「辞めたい」気持ちの背景にある場合、研究所では転職だけを解決策として扱うことはしません。疲労や不眠が続いている、気分が落ち込みやすいといった状態が続く場合は、厚生労働省「こころの耳」などの相談窓口や、医療機関への相談を先に検討することをおすすめします。

転職を考えるときの、サービスの選び方

続ける・分野を変えるという選択肢を検討したうえで、それでも転職を考える場合は、PT・OT・ST(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)に対応する転職エージェントを使う方法があります。各サービスが公式サイトで公表している情報だけを、事実ベースで比較しました。

項目 PT・OT・ST WORKER レバウェルリハビリ
運営会社 株式会社トライトキャリア レバウェル株式会社
対応職種 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・柔道整復師 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の有資格者
対応エリア 全国47都道府県 東京都・神奈川県を中心に展開(登録前に公式サイトで要確認)
雇用形態 正社員・契約社員・パート エージェント型(常勤求人が中心)
厚生労働大臣許可番号 27-ユ-305209 13-ユ-309623

PT・OT・ST WORKERは全国対応で求人の選択肢が広く、レバウェルリハビリは対応エリアが限られる分、エリア内の施設情報に詳しいことがあります。希望の勤務地が対応エリアに含まれているかどうかは、登録前に必ず公式サイトで確認してください。なお、研究所では、派遣・単発・スポット勤務への切り替えを積極的にすすめることはしていません。「どの病期・どの場で、常勤としてどう働きたいか」を軸に比較することが、長期的なキャリア形成という点では重要だと考えているためです。

まとめ

理学療法士の「辞めたい」という気持ちは、職場固有の問題・経験年数に伴う一時的な悩み・将来への漠然とした不安という、性質の異なる要素が混ざっていることが多いものです。

焦って結論を出す前に、まずは自分の「辞めたい」気持ちがどの要素から来ているのかを、この記事のデータと照らし合わせて整理してみてください。

出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報の整理です。給与・求人状況は地域や時期で変わるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。