「理学療法士 年収」で検索して、自分の給料が平均より低いのか高いのか、知りたくなった方は多いと思います。求人サイトによって400万円台前半から後半まで数字がばらついていて、何を信じればいいのか分かりにくいという声も聞きます。
先に結論です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、理学療法士の年収は443.6万円(令和7年賃金構造基本統計調査)です。ただし「中央値」は公的統計では公表されておらず、年齢別の年収データも、公式に確認できる範囲では限られています。この記事では、分かっていること・分かっていないことを分けたうえで、「年収が低い」と感じる背景にある需給のバランスまで、研究所が公的データで整理します。
- 結論:理学療法士の年収は443.6万円。中央値は公表されていない
- 理学療法士の年収はいくらか:job tagのデータで確認する
- 「平均」と「中央値」はどう違うのか
- 年齢別の年収は公表されているのか
- 年収が「低い」と感じる背景にある需給のバランス
- 年収や待遇を確認する方法
- まとめ
- 出典
結論:理学療法士の年収は443.6万円。中央値は公表されていない
job tagの「理学療法士(PT)」のページでは、年収443.6万円という数字が示されています。これは令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした平均値で、就業者202,540人(令和2年国勢調査)、平均年齢36.2歳という条件での集計です。ただし、job tag自身も「統計データは、必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません」と注記しており、この年収は理学療法士単独ではなく、作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士を含めた職種区分の数字である可能性があります。
さらに、「自分は平均より上か下か」を知りたいときに本来参考にしたいのは中央値ですが、調べた範囲では理学療法士の年収について中央値を公表している公的統計は見当たりませんでした。443.6万円という数字を「全員がそれくらいもらえている」という意味で受け取らないことが、実態に近い理解の第一歩になります。
所長モヤのひとこと
「平均◯◯万円」という数字を見たら、まず「誰を対象にした、いつの調査か」を確認する癖をつけると、求人票の月給と見比べたときの違和感が減ります。
理学療法士の年収はいくらか:job tagのデータで確認する
まず、job tagで公表されている理学療法士の統計データを一覧にします。
| 項目 | 全国の値 |
|---|---|
| 賃金(年収) | 443.6万円 |
| 時間給(一般労働者) | 2,282円 |
| 時間給(短時間労働者) | 1,993円 |
| 平均年齢 | 36.2歳 |
| 月の労働時間 | 157時間 |
| 就業者数 | 202,540人(令和2年国勢調査) |
| ハローワークの求人賃金(月額) | 27.6万円(令和7年度) |
| 有効求人倍率 | 4.67倍(令和7年度) |
出典はjob tag「理学療法士(PT)」(令和7年賃金構造基本統計調査・ハローワーク求人統計をもとに加工)です。年収443.6万円に対して、ハローワークの求人賃金(月額)は27.6万円で、単純に12倍すると331万円ほどになります。年収の数字には賞与や経験年数の高い人の給与も含まれているため、求人票の月給だけを見ると、平均年収より低く感じられることがあります。また有効求人倍率4.67倍は、求職者1人に対して求人が4件以上ある計算で、資格そのものの需要が途絶えているわけではないことも分かります。
「平均」と「中央値」はどう違うのか
平均は全員の年収を合計して人数で割った値、中央値は年収の低い人から高い人まで順番に並べたときにちょうど真ん中に来る人の値です。一部の高年収層がいると、平均はその分だけ引き上げられますが、中央値は影響を受けにくいという特徴があります。「自分の年収は平均より低い」と感じる人が多いのは、この性質によるところもあります。
| 統計 | 公表されている値 | 中央値の公表 |
|---|---|---|
| job tag「理学療法士(PT)」 | 賃金(年収)の平均値 | 公表なし |
| 賃金構造基本統計調査(令和7年) | 職種別・年齢別の平均賃金 | 公表なし |
調べた範囲では、理学療法士に限らず、賃金構造基本統計調査そのものが中央値という言葉を使っていません。つまり「理学療法士の年収の中央値」を公的機関が正式に発表している事実は確認できませんでした。この点を踏まえると、「平均443.6万円より自分が低いから失敗した」と判断するのではなく、次の章で見る年齢や経験年数との関係、そして求人市場での実際の提示額を手がかりにするほうが現実的です。
年齢別の年収は公表されているのか
「理学療法士 年収 年齢別」という検索も多く見られますが、job tagのページで公式に確認できるのは「平均年齢36.2歳」という1つの数字だけで、20代・30代・40代といった年代別の年収を具体的な数値で示した公的な表は、研究所が確認した範囲では見当たりませんでした。賃金構造基本統計調査には年齢階級別の集計自体は存在するものの、理学療法士が作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士と合算された職種区分で公表されているため、理学療法士だけを取り出した年齢別の年収を正確に特定することはできません。
年代別の年収を具体的な数字で紹介している記事もありますが、出典や職種区分の定義が明記されていないものも多く、研究所ではその正確性を確認できませんでした。「年齢とともに年収が上がる傾向がある」という大まかな方向性自体は、勤続年数が賃金に影響する一般的な雇用慣行から見ても不自然ではありませんが、具体的な金額を知りたい場合は、後述する転職サービスで自分の年齢・経験年数に近い求人の提示額を確認する方法のほうが確実です。
年収が「低い」と感じる背景にある需給のバランス
理学療法士の年収について「低い」という検索が多い背景には、資格を取得する人の増加ペースも関係していると考えられます。job tagによると、理学療法士の国家試験合格者数は年11,373人(2025年2月時点)です。厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会「理学療法士・作業療法士需給分科会」が2019年4月に公表した需給推計(案)では、理学療法士・作業療法士の供給数はすでに需要数を上回っており、2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍になるという試算が示されました。
これは「理学療法士が不要になる」という意味ではなく、需要そのものは一定の水準で続くとみられています。ただし、資格を持つ人の数が需要の伸びより速いペースで増えていくと、1人あたりの給与の伸びが緩やかになりやすいという構造は、一般的な労働市場の原則としても説明できます。有効求人倍率が4.67倍と高いにもかかわらず、年収の伸びが大きくないと感じる背景には、こうした需給のバランスが関係している可能性があります。
所長モヤのひとこと
求人倍率が高い=年収が上がりやすい、とは必ずしも限りません。資格を持つ人全体の供給が増えている分野では、分野や経験の積み方によって、同じ資格でも提示される給与に差が出やすくなります。
「このまま今の職場で働き続けて大丈夫か」と不安を感じている方は、研究所の別記事「理学療法士「辞めたい」と感じたら確認したい離職データと選択肢」でも、離職率や1年目特有の悩みについて整理しています。
年収や待遇を確認する方法
公的統計の平均値だけでは、自分の年収が今の条件に対して適正かどうかは判断しづらいものです。次の一歩としては、自分の資格・経験・希望する勤務地に対して、今の求人市場でどの程度の給与が提示されるのかを、複数の転職サービスで具体的に確認する方法があります。
各サービスが公式サイトで公表している情報だけを、事実ベースで比較しました。
| 項目 | PT・OT・ST WORKER | レバウェルリハビリ |
|---|---|---|
| 運営会社 | 株式会社トライトキャリア | レバウェル株式会社 |
| 対応職種 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・柔道整復師 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の有資格者 |
| 対応エリア | 全国47都道府県 | 東京都・神奈川県を中心に展開(登録前に公式サイトで要確認) |
| 雇用形態 | 正社員・契約社員・パート | 公式に記載なし(エージェント型で常勤求人が中心) |
| 公表している求人数 | 21,187件(2026年10月10日更新・公式) | 公式に記載なし |
| 厚生労働大臣許可番号 | 有料職業紹介:27-ユ-305209/労働者派遣:派27-305663 | 有料職業紹介:13-ユ-309623 |
全国の求人を幅広く比較しながら自分の資格・経験に見合う年収の相場を知りたい人には、全国対応のエージェント型が向いています。一方、勤務地を東京都・神奈川県エリアに限定して探している人には、そのエリアに強いサービスを併用する選び方もあります。どちらが自分に合うかは、希望する勤務地が対応エリアに含まれているかを登録前に公式サイトで確認したうえで判断してください。理学療法士向けの転職サイト全体の選び方は、研究所の別記事「理学療法士の転職サイトの選び方」でも整理しています。
まとめ
理学療法士の年収は443.6万円(job tag、令和7年賃金構造基本統計調査)が公的データでの目安ですが、これは理学療法士単独の数字とは限らず、中央値も公表されていません。
- job tagの年収443.6万円に対し、ハローワークの求人賃金(月額)は27.6万円で、単純計算では年収と差が出る
- 平均・中央値のどちらも、理学療法士に限った公的な中央値は確認できなかった
- 年齢別の年収を正確に示す公的な表は確認できず、年代ごとの金額は求人市場で個別に確認するほうが確実
- 供給数が需要数を上回る需給推計があり、資格を持つ人全体の増加が、年収の伸び方に影響している可能性がある
「平均より低いから自分は失敗している」と決めつける前に、何を測った数字かを確認し、自分の経験・希望条件に近い求人の提示額を実際に確認してみることをおすすめします。
出典
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「理学療法士(PT)」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省 医療従事者の需給に関する検討会「第2回理学療法士・作業療法士需給分科会」議事録・資料(2016年8月5日開催)
- 厚生労働省 医療従事者の需給に関する検討会「第3回理学療法士・作業療法士需給分科会」資料2「理学療法士・作業療法士の需給推計を踏まえた今後の方向性について」(2019年4月5日開催)
- PT・OT・ST WORKER 公式サイト(2026年10月閲覧)
- 株式会社トライトキャリア 会社概要(2026年10月閲覧)
- レバウェルリハビリ 公式サイト(2026年10月閲覧)
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報の整理です。給与・求人状況は地域や時期で変わるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。