介護職として転職活動を始めたものの、「志望動機に何を書けばいいかわからない」「前の職場への不満をどう言い換えればいいのか」と手が止まってしまう方は多いと思います。結論を先に書きます。介護職の志望動機は、①その職場・法人を選んだ理由、②これまでの経験や資格で活かせること、③入職後にどう貢献したいかという意欲の3点を、自分の言葉で具体的につなげて書くことが基本です。この記事では、ハローワークが公開している応募書類作成の資料や、介護労働安定センターの調査データをもとに、介護職の志望動機の書き方と、履歴書を書くときに注意したい点を研究所が整理します。
- 結論:志望動機は「選んだ理由」「活かせる経験」「意欲」の3点で組み立てる
- 採用担当者は何を見ている?データで見る「職場を選んだ理由」
- 志望動機の基本構成とNGな書き方
- 転職理由タイプ別・志望動機の組み立て方
- 履歴書・職務経歴書を書くときに注意したいポイント
- 一人で仕上げるのが不安なときの相談先
- まとめ
- 出典
結論:志望動機は「選んだ理由」「活かせる経験」「意欲」の3点で組み立てる
厚生労働省職業安定局・都道府県労働局・ハローワークが発行している「応募書類の作り方」(令和7年5月発行)では、履歴書の「志望の動機、アピールポイント」欄に盛り込むべき内容として、次の3点を挙げています。
- ①応募先企業(法人)を選択した理由(なぜその職場を選んだか)
- ②自分の経験・能力のアピール(自分のどんなところを仕事に活かせるか)
- ③意欲(どんな仕事をしてその職場に役立ちたいか)
同資料では、「貴社で学びたい」「充実感を得たい」のような個人的で一方的な希望だけを書いても、具体的で説得力のあるメッセージがなければアピールになりにくいと注意しています。介護職の場合も同じで、「人の役に立ちたいから」という気持ちだけでなく、その気持ちを今の自分の経験や、応募先の法人・事業所の特徴と結びつけて書くことが重要です。
所長モヤのひとこと
志望動機は「気持ち」だけでは伝わりません。①なぜその職場か、②自分の何が活かせるか、③入ってから何をしたいか。この3つの空欄を埋めるつもりで書き出してみると、文章がまとまりやすくなります。
採用担当者は何を見ている?データで見る「職場を選んだ理由」
志望動機で何を書けば採用担当者に響きやすいかを考えるヒントとして、公益財団法人介護労働安定センターの「令和7年度介護労働実態調査」(労働者調査、複数回答)で、実際に働いている介護労働者が「現在の法人に就職した理由」として挙げている項目を見てみます。
| 現在の法人に就職した理由(複数回答) | 全体 | 勤続1年未満 |
|---|---|---|
| 通勤に便利だから | 51.8% | 52.1% |
| 職場の人間関係がよさそうだったため | 35.1% | 41.7% |
| 自分のやりたい介護ができそうだったため | 34.2% | 40.3% |
| 有給休暇などの各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすいため | 25.3% | 23.8% |
| 時間外労働が少ないため | 18.5% | 30.5% |
| 賃金水準が比較的高いため | 17.4% | 22.5% |
| 事業所の設備・環境が働きやすそうだったため | 16.2% | 21.0% |
| 法人の方針や理念に共感したため | 14.8% | 21.9% |
「通勤に便利だから」を除くと、「職場の人間関係がよさそうだった」「自分のやりたい介護ができそうだった」が上位にあり、特に勤続1年未満の人ではこの2項目と「時間外労働が少ないため」の割合が全体より高くなっています。これは採用担当者が重視する点を直接示すデータではありませんが、実際に入職を決めた介護労働者が、給与の高さだけでなく、職場の人間関係や「自分がやりたい介護ができそうか」を具体的に見て職場を選んでいることがうかがえます。志望動機でも、求人票や施設の情報から、自分が何に魅力を感じたのかを具体的な言葉にすることが、説得力につながります。
志望動機の基本構成とNGな書き方
先述のハローワークの資料をもとに、介護職の志望動機を書くときの基本の流れを整理すると、次のようになります。
- 求人票や施設のホームページなどを確認し、応募先の特徴(サービスの種類、理念、利用者層など)を把握する
- その中から「①選んだ理由」を具体的に1つか2つに絞る
- これまでの職歴や資格のうち、「②活かせる経験」を応募先の仕事内容に結びつけて書く
- 「③意欲」として、入職後にどう取り組みたいかを一文で添える
同資料は、職歴欄に書く退職理由については「一身上の都合により退職」のように簡潔に記載し、前向きな理由がある場合は志望動機・アピールポイント欄で丁寧に書くことを勧めています。つまり、職歴欄で前職への不満を詳しく書く必要はなく、志望動機欄で「次にどうしたいか」という前向きな形に変換して伝える、という役割分担で考えるとまとめやすくなります。
避けたい書き方としては、以下のようなものが挙げられます。
- 前職や前の職場の人間関係への不満をそのまま書く(採用担当者には「他責的」という印象を与えやすい)
- 「給与が良いから」「家から近いから」など、条件面だけを理由として書く
- 「貴社の理念に共感しました」だけで終わり、自分のどんな経験・考え方と理念が結びつくのかが書かれていない
- どの施設にも当てはまるような、応募先固有の情報に触れていない内容
転職理由タイプ別・志望動機の組み立て方
介護職の転職理由は人によってさまざまですが、よくあるタイプ別に、志望動機の組み立て方の考え方を整理します。前職への不満をそのまま書くのではなく、「次の職場で何を実現したいか」に変換する点が共通のポイントです。
- 職場の人間関係に悩んでいた場合:「人間関係が悪かった」と書くのではなく、「チームで連携しながら介護にあたれる環境で働きたい」のように、自分が次に求める環境を前向きな言葉で具体化します。人間関係を理由にした転職の考え方は、研究所の別記事「介護職「辞めたい理由」を研究所が整理」でも扱っています。
- やりたい介護の方向性を変えたい場合:「在宅での生活を支える訪問介護に力を入れたい」「認知症ケアの専門性を高めたい」など、自分が今後力を入れたい分野を具体的に書きます。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、施設介護員に求められる能力として、対人援助の能力や傾聴力、チームで働く力などが挙げられており、こうした自分の強みと結びつけて書くと説得力が増します。
- 勤務条件(夜勤・勤務時間など)を変えたい場合:「夜勤が負担だった」ではなく、「生活リズムを整えながら長く働き続けたい」のように、継続的に働くための前向きな理由として書きます。日勤のみの働き方については、研究所の別記事「介護職「日勤のみ」求人は本当にある?」も参考にしてください。
- 法人の方針・理念に共感した場合:共感した理念の具体的な部分(例:地域密着型の運営、利用者本位のケア方針など)を挙げたうえで、自分のこれまでの経験や価値観のどの部分が重なるのかまで書くと、表面的な共感で終わりません。
所長モヤのひとこと
「辞めたい理由」をそのまま書くのではなく、「次はどうしたいか」に変換する。この一手間だけで、志望動機の印象はかなり変わります。
履歴書・職務経歴書を書くときに注意したいポイント
ハローワークの「応募書類の作り方」では、履歴書は単なる手続き書類ではなく、採用・不採用の判断に使われる「審査書類」として位置づけられると説明されています。記載内容だけでなく、誤字脱字がないか、様式に沿った書き方になっているかも、応募への姿勢として見られる点に注意が必要です。具体的には、次のような点が挙げられています。
- 文体は「です・ます」調で統一し、年号も和暦か西暦のどちらかに統一する
- 学校名・企業名・資格名は正式名称で記載する(「○○高校」ではなく「○○県立○○高等学校」など)
- 職務経歴書を提出する場合も、履歴書の志望動機欄は省略せず、履歴書だけでも採用担当者にアピールできる内容にする
- 完成した書類はコピーを取っておき、面接で記載内容と矛盾する回答をしないよう事前に見返す
介護職は実務経験が重視されやすい職種のため、職務経歴書を提出する場合は、担当していた業務内容(入所型・通所型・訪問系の別、利用者の人数規模など)や、取得済み・取得予定の資格を具体的に書くと、実務能力のアピールにつながります。
一人で仕上げるのが不安なときの相談先
志望動機や履歴書を一人で仕上げるのが不安な場合、情報収集の方法は大きく「人材紹介会社(エージェント型)に相談する」方法と、「介護事業所の採用サイトを直接確認する」方法の2つに分かれます。
| サービス | タイプ | 運営会社 | 対応エリア | 雇用形態 | 公表している求人数・事業所数 | 職業紹介の許可番号 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| レバウェル介護 | エージェント型(人材紹介) | レバウェル株式会社 | 全国47都道府県 | 正社員・契約社員・パート・派遣・紹介予定派遣 | 求人総数158,596件(2025年6月更新・公式) | 有料職業紹介:13-ユ-309623/労働者派遣:派13-310987 |
| ヒューマンライフケア | 施設直接応募型(介護事業所の採用サイト) | ヒューマンライフケア株式会社(ヒューマンホールディングス株式会社の子会社) | 公式サイト記載のエリア(全国の施設・事業所) | 常勤・非常勤(常勤49.8%、非常勤50.2%) | 178事業所(2026年4月現在・公式) | 公式に記載なし(自社運営施設への直接応募のため職業紹介事業ではない) |
エージェント型は、担当者に転職理由や希望条件を伝えることで、志望動機の方向性を一緒に整理してもらいやすいという特徴があります。ただし、書類添削のサービス内容は事業者によって異なるため、具体的なサポート範囲は相談時に確認するとよいでしょう。一方、施設の採用サイトを直接確認する方法は、法人の理念や事業内容を自分で調べたうえで志望動機に反映させたい人に向いています。介護福祉士向けの転職サービス全体のタイプ別の選び方は、研究所の別記事「介護福祉士向け転職サイトおすすめ比較」で整理しています。
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どちらの方法を選ぶ場合も、応募先の情報を自分なりに調べたうえで、「①選んだ理由」「②活かせる経験」「③意欲」の3点を具体的な言葉にしてから相談・応募に進むと、面接でも一貫した説明がしやすくなります。
まとめ
介護職の志望動機は、特別な言い回しよりも、応募先の情報と自分の経験を具体的に結びつけることが重要です。
- 志望動機には「①選んだ理由」「②活かせる経験」「③意欲」の3点を盛り込む(ハローワーク「応募書類の作り方」)
- 実際に就職した介護労働者は、通勤の便利さのほか「職場の人間関係」「自分のやりたい介護ができそうか」を理由に挙げる人が多い(令和7年度介護労働実態調査)
- 前職への不満は職歴欄で詳しく書かず、志望動機欄で「次はどうしたいか」という前向きな形に変換する
- 職務経歴書では、担当していた業務内容や資格を具体的に書き、実務能力をアピールする
- 一人で仕上げるのが不安なときは、エージェント型・施設直接応募型それぞれの特徴を踏まえて相談先を選ぶ
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報の整理です。給与・求人状況は地域や時期で変わるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
出典
- ハローワークインターネットサービス「応募書類の作り方」(厚生労働省職業安定局・都道府県労働局・ハローワーク)(2026年10月閲覧)
- 公益財団法人介護労働安定センター「令和7年度『介護労働実態調査』結果の概要について」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「施設介護員」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「訪問介護員/ホームヘルパー」(2026年10月閲覧)
- レバウェル介護 公式サイト(2026年10月閲覧)
- ヒューマンライフケア「数字で見るヒューマンライフケア」(2026年10月閲覧)