「介護職を辞めたい」と感じているけれど、「これくらいで辞めたいと思うのは甘えなのでは」と自分を責めてしまう。そんな状態で検索している方も多いと思います。先に結論を書きます。介護職を辞めたいと感じること自体は、甘えかどうかで判断できる問題ではありません。公的な調査でも、人間関係や人手不足、賃金への不満は介護職に共通して多く挙げられている理由であり、個人の資質の問題ではなく、職場や業界構造に起因する部分が大きいことが分かっています。この記事では、介護労働安定センターの調査データなどをもとに、辞めたいと感じる理由の傾向と、辞める前に確認しておきたいポイントを研究所が整理します。
- 結論:辞めたいと感じるのは甘えではない。まず理由を分けて考える
- 介護職員が仕事を辞めた理由(令和7年度 介護労働実態調査)
- 辞めていない人が抱える悩み・不安・不満
- 「甘えかどうか」より確認したいデータ:離職率と賃金・求人状況
- 心身の不調があるときは、転職だけを解決策にしない
- 辞める・転職するかを考えるときの進め方
- まとめ
- 出典
結論:辞めたいと感じるのは甘えではない。まず理由を分けて考える
「介護職 辞めたい」という検索の背景には、「このくらいの悩みで辞めたいと思うのは甘えなのか」という自己判断への迷いがあることが多いと思います。公益財団法人介護労働安定センターが毎年実施している「介護労働実態調査」では、介護関係の仕事を辞めた人の理由として「職場の人間関係」「事業所の運営方針への不満」「他に良い仕事があった」が繰り返し上位に挙がっており、個人の性格や忍耐力の問題として語られる理由ではありません。
大切なのは、「辞めたい」という気持ちを甘えかどうかで判定することではなく、その理由が「今の職場固有の問題」なのか「介護職という仕事そのものの構造的な問題」なのかを分けて考えることです。前者であれば同じ介護職でも職場を変えることで解決する可能性があり、後者であれば働き方や職種の見直しも含めて検討する必要があります。
所長モヤのひとこと
「辞めたい」と思うこと自体に善悪はありません。まずは「何が一番つらいのか」を一つずつ書き出してみると、職場の問題か、仕事内容そのものの問題かが見えてきます。
介護職員が仕事を辞めた理由(令和7年度 介護労働実態調査)
介護労働安定センターの「令和7年度介護労働実態調査」は、令和7年10月1日から10月31日にかけて、全国の介護事業所18,000件(有効対象16,854件、回収8,955件、回収率53.1%)と、介護労働者54,000人(有効対象50,562人、回収20,675人、回収率40.9%)を対象に実施されたものです。このうち介護労働者調査では、前の職場で介護関係の仕事を辞めた人に理由を複数回答で尋ねており、以下の結果が公表されています。
| 介護関係の仕事を辞めた理由(複数回答) | 割合 |
|---|---|
| 職場の人間関係に問題があったため | 27.3% |
| 勤務先の事業理念や運営のあり方に不満があったため | 21.0% |
| 他に良い仕事・職場があったため | 17.2% |
最多だった「職場の人間関係に問題があったため」を選んだ人に、その具体的な内容をさらに複数回答で尋ねた結果では、「上司や先輩からの指導や言動がきつかったり、パワーハラスメントがあった」が45.8%、「仕事の進め方に関する意思疎通がうまくいかなかった」が38.0%となっています。人間関係の問題のなかでも、個人間の相性だけでなく、指導のあり方や職場のコミュニケーション設計に起因するケースが多いことがうかがえます。
辞めていない人が抱える悩み・不安・不満
同じ調査では、現在も介護の仕事を続けている労働者に対して、仕事の負担や処遇についての悩み・不安・不満を複数回答で尋ねています。辞めた人の理由とは別の設問ですが、業界全体が抱える課題を知る手がかりになります。
| 労働条件等の悩み・不安・不満(複数回答) | 割合 |
|---|---|
| 人手が足りない | 52.3% |
| 仕事内容のわりに賃金が低い | 38.1% |
| 昇給がない、少ない | 29.9% |
| 身体的負担が大きい(腰痛・体力面) | 23.9% |
「人手が足りない」が半数を超えて最も多く、これは個人の努力で解決できる範囲を超えた、事業所・業界全体の構造的な課題であることを示しています。一方で、同じ調査では訪問介護員の約70%、介護職員の約60%が「現在の仕事にやりがい・働きがいを感じている」と回答しているとされており、負担と働きがいの両方が同時に存在している実態も読み取れます。
所長モヤのひとこと
「人手不足で辞めたい」と感じるのは、あなた一人の能力や忍耐の問題ではなく、業界で半数以上が同じ悩みを抱えている構造的な課題です。自分を責める前に、この数字を知っておいてほしいと思います。
「甘えかどうか」より確認したいデータ:離職率と賃金・求人状況
「辞めたいと思うのは甘えか」を考える前に、客観的なデータで現状を確認しておくと判断しやすくなります。まず離職率です。同じ令和7年度介護労働実態調査によると、訪問介護員・介護職員の2職種を合計した離職率は12.4%で、前年度とほぼ横ばいでした。年齢別では29歳以下が17.3%と特に高くなっています。比較のため、厚生労働省「令和7年雇用動向調査」による全産業の離職率(年計)は13.7%です。ただし両調査は対象期間や調査方法が異なるため、単純な優劣の比較はできませんが、介護職の離職率が全産業平均より際立って高いわけではないことがわかります。
次に、賃金と求人状況です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)には「介護福祉士」という単独の職業ページはなく、働く場によって「施設介護員」と「訪問介護員/ホームヘルパー」に分けて統計が公表されています。
| 項目 | 施設介護員 | 訪問介護員/ホームヘルパー |
|---|---|---|
| 賃金(年収) | 388.0万円 | 381.9万円 |
| 平均年齢 | 45.3歳 | 51.2歳 |
| 月の労働時間 | 162時間 | 163時間 |
| 就業者数 | 1,358,960人 | 275,770人 |
| ハローワークの求人賃金(月額) | 22.5万円 | 24.5万円 |
| 有効求人倍率 | 2.96倍 | 28.37倍 |
出典はいずれもjob tag「施設介護員」「訪問介護員/ホームヘルパー」(賃金構造基本統計調査・ハローワーク求人統計をもとに加工、就業者数は国勢調査)です。訪問介護員の有効求人倍率28.37倍は、求職者1人に対して求人が28件以上ある計算で、人手不足が特に深刻な水準を示しています。つまり「辞めたい」と感じていても、同じ介護の仕事の中でも求人の出やすさや賃金水準には違いがあり、今の職場だけがすべてではないことが、数字からもわかります。
心身の不調があるときは、転職だけを解決策にしない
「辞めたい」という気持ちの背景に、強い疲労感や不眠、気分の落ち込みなど心身の不調がある場合は、転職を考える前に、専門の相談窓口に話してみることをおすすめします。厚生労働省の「こころの耳」は、働く人のメンタルヘルスに関する電話・SNS・メール相談を匿名・無料で受け付けている公式サイトです。また、人間関係の悩みが上司や同僚からのハラスメントに関わる場合は、厚生労働省委託事業の「ハラスメント悩み相談室」でも相談できます。心身の負担が大きいと感じる状態を一人で抱え込まず、まず相談してから今後を考えることが、結果的に良い判断につながります。
辞める・転職するかを考えるときの進め方
「今の職場固有の問題」か「介護職全体の構造的な問題」かを分けて考えたら、次の一歩として、実際の求人や職場の情報を具体的に確認してみる段階に進めます。情報収集の方法は、大きく「人材紹介会社(エージェント型)に相談する」方法と、「介護事業所の採用サイトを直接確認する」方法の2つに分かれます。
| サービス | タイプ | 運営会社 | 対応エリア | 雇用形態 | 公表している求人数・事業所数 | 職業紹介の許可番号 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| レバウェル介護 | エージェント型(人材紹介) | レバウェル株式会社 | 全国47都道府県 | 正社員・契約社員・パート・派遣・紹介予定派遣 | 求人総数158,596件(2025年6月更新・公式) | 有料職業紹介:13-ユ-309623/労働者派遣:派13-310987 |
| ヒューマンライフケア | 施設直接応募型(介護事業所の採用サイト) | ヒューマンライフケア株式会社(ヒューマンホールディングス株式会社の子会社) | 公式サイト記載のエリア(全国の施設・事業所) | 常勤・非常勤(常勤49.8%、非常勤50.2%) | 178事業所(2026年4月現在・公式) | 公式に記載なし(自社運営施設への直接応募のため職業紹介事業ではない) |
人間関係や職場の運営方針に悩んでいて、今の施設以外の選択肢を広く比較したい人は、エージェント型のサービスに希望条件や辞めたいと思っている理由を具体的に伝えると、それを踏まえた求人を紹介してもらいやすくなります。一方、特定の法人が運営する施設の雰囲気や事業内容を事前にある程度把握したうえで検討したい人は、採用サイトを直接確認する方法に向いています。介護福祉士向けの転職サービス全体のタイプ別の選び方は、研究所の別記事「介護福祉士向け転職サイトおすすめ比較」で整理しています。また、夜勤の負担が辞めたい理由の一つになっている場合は、「介護職の日勤のみ求人」についての記事も参考にしてください。
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※ 広告リンクです。サービス内容・対象条件は各公式サイトでご確認ください
どちらの方法を選ぶ場合も、「辞めたい理由」を具体的な言葉にしてから相談や応募に進むと、同じ悩みを繰り返す転職になりにくくなります。
まとめ
介護職を「辞めたい」と感じることは、公的な調査からも分かるように、介護業界に広く共通する悩みであり、個人の甘えで説明できる問題ではありません。
- 介護関係の仕事を辞めた理由の上位は「職場の人間関係」「事業理念・運営方針への不満」「他に良い仕事があった」(令和7年度介護労働実態調査)
- 現職者の悩みでは「人手が足りない」が52.3%で最多。構造的な人手不足が背景にある
- 介護職員・訪問介護員の離職率は12.4%で、全産業の離職率13.7%と比べて際立って高いわけではない
- 辞めたい理由が「今の職場固有の問題」か「介護職全体の問題」かを分けて考えることが、次の判断の近道になる
- 心身の不調がある場合は、転職の前に「こころの耳」などの相談窓口も活用する
「甘えかどうか」を自分だけで判断しようとせず、データで現状を確認し、必要なら専門の窓口や転職サービスに相談しながら、今後の進め方を考えてみてください。
出典
- 公益財団法人介護労働安定センター「令和7年度『介護労働実態調査』結果の概要について」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「施設介護員」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「訪問介護員/ホームヘルパー」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省委託事業「ハラスメント悩み相談室」(2026年10月閲覧)
- レバウェル介護 公式サイト(2026年10月閲覧)
- ヒューマンライフケア「数字で見るヒューマンライフケア」(2026年10月閲覧)
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報の整理です。給与・求人状況は地域や時期で変わるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。