「臨床検査技師の年収は低いのではないか」「同じ病院の看護師や診療放射線技師と比べて、自分の給料は見合っているのか」。資格を取って検体検査や生体検査の現場で働き続けていても、こうした疑問はなかなか解消しないものです。
先に結論です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、臨床検査技師の年収は482万円(令和7年賃金構造基本統計調査、平均年齢40.2歳)が公的データでの目安です。ただしこれは平均値であり、中央値は公的統計では公表されていません。また同じ医療技術職である看護師(524.7万円)や診療放射線技師(556.5万円)と比べると、job tagの数字上は臨床検査技師のほうがやや低めに出ています。この記事では、厚生労働省のデータをもとに、平均・年齢別・他職種との比較という3つの切り口から、臨床検査技師の年収を研究所が整理します。
- 結論:臨床検査技師の年収は482万円が目安。中央値は公表されていない
- 臨床検査技師の年収はいくらか:job tagのデータで見る
- 年収の「中央値」はなぜ分からないのか
- 年齢別に見る臨床検査技師の年収
- 看護師・診療放射線技師と比べて本当に「低い」のか
- 年収や待遇を確認する方法
- まとめ
- 出典
結論:臨床検査技師の年収は482万円が目安。中央値は公表されていない
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、臨床検査技師の賃金(年収)を482万円としています。これは令和7年賃金構造基本統計調査にもとづく平均値で、対象者の平均年齢は40.2歳です。「臨床検査技師 年収 低い」と検索する人の多くは、この482万円という数字そのものよりも、「自分や周囲の年収が平均より低いのではないか」という不安を持っていると思われます。しかし平均値は、一部の高年収層や勤続年数の長いベテランに引っ張られて実際の中心的な水準より高めに出ることがある指標です。中央値(全体を順番に並べたときの真ん中の値)が分からない以上、「平均482万円より低いから自分は恵まれていない」と単純に判断するのは早計です。
所長モヤのひとこと
「平均◯◯万円」という数字は、あくまで全体をならした値です。自分の年齢・経験年数・勤務先の種類に近い条件と比べてみないと、本当に低いのかどうかは判断できません。
臨床検査技師の年収はいくらか:job tagのデータで見る
job tagの「臨床検査技師」のページには、賃金構造基本統計調査とハローワーク求人統計にもとづく数値がまとめて公表されています。まずこの数字を確認します。
| 項目 | 臨床検査技師の数値 |
|---|---|
| 賃金(年収) | 482万円 |
| 平均年齢 | 40.2歳 |
| 月の労働時間 | 158時間 |
| 時間当たり賃金(一般労働者) | 2,420円 |
| 就業者数 | 82,720人(令和2年国勢調査) |
| ハローワークの求人賃金(月額) | 24.7万円 |
| 有効求人倍率 | 1.5倍 |
出典はjob tag「臨床検査技師」(令和7年賃金構造基本統計調査・令和7年度ハローワーク求人統計をもとに加工、就業者数は令和2年国勢調査)です。有効求人倍率1.5倍は、求職者1人あたり1.5件程度の求人がある計算で、医療職の中では極端な人手不足というより、緩やかな求人過多の状態と言えます。なお、この数値は臨床検査技師という資格を持つ人全体の平均であり、勤務先が大学病院か検診センターか、常勤か非常勤かなどの条件は反映されていません。
年収の「中央値」はなぜ分からないのか
job tagの賃金データのもとになっている賃金構造基本統計調査は、職種別に「きまって支給する現金給与額」や「年間賞与その他特別給与額」の平均値を公表する調査です。この調査では、臨床検査技師のような職種別の中央値は公表されていません。国税庁の「令和6年分民間給与実態統計調査」でも、給与所得者全体の平均給与は478万円と公表されていますが、ここでも公表されているのは平均値だけで、中央値という言葉自体は使われていません。
| 統計 | 公表されている値 | 中央値の公表 |
|---|---|---|
| job tag「臨床検査技師」 | 賃金(年収)の平均値 | 公表なし |
| 国税庁 民間給与実態統計調査 | 給与所得者全体の平均給与 | 公表なし |
中央値そのものが公的には分からない以上、「平均482万円だから自分は低い」と結論づける前に、次の章で紹介する年齢別の数字や、他職種との比較のほうが実感に近い判断材料になります。
年齢別に見る臨床検査技師の年収
臨床検査技師の年収は、年齢とともにどう変わるのでしょうか。job tagの「臨床検査技師」のページ自体には年齢階級別の内訳は示されていませんが、同じ令和7年賃金構造基本統計調査のデータを独自に集計した例として、臨床検査技師向け人材紹介サービスを運営するドクターネットエージェントが公表している年齢層別の平均年収があります。
| 年齢層 | 平均年収(残業・当直・待機を含む) |
|---|---|
| 20〜24歳 | 339万円 |
| 25〜29歳 | 405万円 |
| 30〜34歳 | 465万円 |
| 35〜39歳 | 524万円 |
| 40〜44歳 | 507万円 |
| 45〜49歳 | 500万円 |
| 50〜54歳 | 569万円 |
| 55〜59歳 | 622万円 |
出典はドクターネットエージェント「臨床検査技師の給与額(統計値)」(令和7年賃金構造基本統計調査をもとに集計、全国平均463万円・平均年齢38.8歳・対象者数79,520人)です。この集計の全国平均(463万円・平均年齢38.8歳)は、job tagが示す482万円・40.2歳とは一致しません。同じ調査でも、集計対象の年度区分や企業規模の絞り方などの違いによって、平均値が数パーセント動くことがあるためです。傾向としては、35〜39歳までは年齢が上がるほど年収も上がり、40代でいったん落ち着き、50代後半で再び上がるという、資格職にしばしば見られる動き方をしています。
所長モヤのひとこと
同じ「令和7年賃金構造基本統計調査」でも、集計元によって平均値が数十万円単位で違うことがあります。年収を比べるときは、どの調査の、いつ時点の数字かをセットで確認する習慣をつけると安心です。
看護師・診療放射線技師と比べて本当に「低い」のか
「臨床検査技師 年収 低い」という検索の背景には、同じ病院で働く他の医療職との比較があると思われます。job tagで公表されている同じ令和7年賃金構造基本統計調査の数値を並べると、次のようになります。
| 職種 | 賃金(年収) | 平均年齢 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|
| 臨床検査技師 | 482万円 | 40.2歳 | 1.5倍 |
| 看護師 | 524.7万円 | 42.1歳 | 2.38倍 |
| 診療放射線技師 | 556.5万円 | 41.1歳 | 1.07倍 |
| 臨床工学技士 | 454.2万円 | 37.6歳 | 1.73倍 |
出典はjob tagの各職業ページ(いずれも令和7年賃金構造基本統計調査)です。この4職種を比べると、診療放射線技師と看護師の年収が臨床検査技師よりも高く出ており、臨床工学技士はやや低く出ています。ただし有効求人倍率を見ると、看護師が2.38倍と最も人手不足が深刻で、診療放射線技師は1.07倍とほぼ需給が均衡しています。臨床検査技師の1.5倍は、看護師ほどではないものの、一定の求人需要があることを示しています。年収の差は、平均年齢や勤務先の規模、資格を活かせる業務の専門性の違いなど、複数の要因が組み合わさった結果であり、「臨床検査技師だから低い」と単純に説明できるものではありません。転職そのものが難しいかどうかについては、研究所の別記事「臨床検査技師の転職は難しい?」でも整理しています。
年収や待遇を確認する方法
自分の年収が平均や年齢別の相場と比べてどうなのかを正確に知る方法は、統計を眺めることではなく、今の求人市場で自分の資格・経験・希望条件に対してどの程度の給与が提示されるかを、具体的に確認することです。臨床検査技師を対応職種とする転職サービスには、いくつかのタイプがあります。
医療機関と医師紹介を中心に扱うエージェント型
ドクターネットエージェントの公式サイトによると、運営会社は株式会社ドクターネット(1995年設立)で、放射線科医・消化器科医・内視鏡専門医に加えて、診療放射線技師・臨床検査技師を対応職種としています。職業紹介事業の許可番号は13-ユ-309985です。医師の転職支援を母体とするサービスのため、医師とともに働く検査室の求人動向に詳しいという特徴があります。
検査・工学・放射線の3職種に特化したエージェント型
レバウェル医療技師の公式サイトによると、運営会社はレバウェル株式会社で、臨床検査技師・臨床工学技士・診療放射線技師の3職種を対応職種とし、正職員での転職を希望する人を主な対象としています。臨床検査技師の求人は1,996件掲載中(2026年9月更新・公式、サイト非掲載分を含む保有求人は2,757件)とされています。有料職業紹介の許可番号は13-ユ-309623、労働者派遣事業の許可番号は派13-310987です。
| サービス | 運営会社 | 対応職種 | 対応条件 | 公表している求人数 | 職業紹介の許可番号 |
|---|---|---|---|---|---|
| ドクターネットエージェント | 株式会社ドクターネット | 診療放射線技師・臨床検査技師・放射線科医師ほか | 23〜59歳、3か月〜半年以降の転職希望 | 公式に記載なし | 13-ユ-309985 |
| レバウェル医療技師 | レバウェル株式会社 | 臨床検査技師・臨床工学技士・診療放射線技師 | 正職員での転職希望者 | 臨床検査技師1,996件掲載中(2026年9月更新・公式) | 13-ユ-309623 |
年齢や転職希望のタイミングに制約があるサービスと、正職員希望という働き方の条件で絞られたサービスでは、向いている人が異なります。3か月以上先の転職を見据えて医師との関わりが深い現場も含めて探したい人はドクターネットエージェントのような窓口、臨床検査技師・臨床工学技士・放射線技師の3職種に特化して正職員の求人を横断的に比較したい人はレバウェル医療技師のような窓口が候補になります。転職サービス全体のタイプ別の選び方は、研究所の別記事「臨床検査技師向け転職サイトおすすめ比較」でも整理しています。
年収を比較する際は、基本給だけでなく当直手当・夜勤手当・賞与がどのように含まれているかを、面談や求人票で具体的に確認することをおすすめします。なお、給与や待遇への不満から心身の不調を感じている場合は、転職だけを唯一の解決策にせず、産業医や医療機関、地域の相談窓口にも相談してください。
まとめ
臨床検査技師の年収は、job tagの公表値では482万円が目安ですが、集計方法によって数字は数十万円単位で変わり、中央値は公的統計では公表されていません。
- job tag「臨床検査技師」の賃金(年収)は482万円、平均年齢40.2歳(令和7年賃金構造基本統計調査)
- 年齢層別では55〜59歳が最も高く622万円という集計がある(ドクターネットエージェント調べ、令和7年賃金構造基本統計調査)
- 看護師524.7万円・診療放射線技師556.5万円と比べるとjob tag上は低めだが、臨床工学技士454.2万円より高い
- 有効求人倍率1.5倍は、看護師(2.38倍)ほどではないが一定の求人需要を示している
公的統計の平均値だけで一喜一憂せず、自分の資格・経験・希望する勤務先の種類に近い条件で、実際にどの程度の給与が提示されるのかを複数のサービスで確認してみてください。
出典
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「臨床検査技師」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「看護師」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「診療放射線技師」(2026年10月閲覧)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「臨床工学技士」(2026年10月閲覧)
- 国税庁「令和6年分民間給与実態統計調査」(2026年10月閲覧)
- ドクターネットエージェント「臨床検査技師の給与額(統計値)」(2026年10月閲覧)
- ドクターネットエージェント 公式サイト(2026年10月閲覧)
- レバウェル医療技師 公式サイト(臨床検査技師)(2026年10月閲覧)
※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報の整理です。給与・求人状況は地域や時期で変わるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。