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研究レポート No.025

看護師1年目で辞めたいと感じたときの判断基準とデータで見る実態

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夜勤明けでも頭から離れない失敗の記憶、先輩の顔色をうかがう毎日——「このまま看護師を続けられるのだろうか」と、1年目のうちに感じる方は少なくありません。結論からお伝えすると、1年目で「辞めたい」と感じること自体は珍しいことではなく、まず確認すべきは「今の辞めたさがどこから来ているのか」と「辞める場合に知っておくべき法律上のルール」の2点です。この記事では、厚生労働省や日本看護協会のデータ、民法の条文をもとに、1年目特有の悩みを整理します。

この研究レポートの目次

  1. 結論:看護師1年目で「辞めたい」と感じるのは珍しいことではありません
  2. なぜ1年目で辞めたいと感じるのか——リアリティショックの正体
  3. 知恵袋などでよく見る「辞めたい理由」を整理する
  4. 辞める前に確認しておきたい法律と職場のルール
  5. 今の職場に残る場合と転職を考える場合、判断の軸
  6. 心身の不調を感じているときに優先したいこと
  7. まとめ
  8. 出典

結論:看護師1年目で「辞めたい」と感じるのは珍しいことではありません

日本看護協会の「2025年病院看護実態調査報告書」によると、2024年度の新卒採用看護職員の離職率は8.4%でした。これは、新卒で採用された看護職員のうち、1年以内に離職した人の割合を示す数字です。一方、すでに実務経験のある既卒採用看護職員の離職率は16.1%と、新卒のおよそ2倍にのぼります。つまり「1年目で辞めたい」と悩む人がいる一方で、実際に1年目で辞める人は少数派であり、むしろ経験を積んだ後に転職する人のほうが多いというのが、公表されている数字からわかる実態です。

項目 数値 出典
新卒採用看護職員の離職率 8.4%(2024年度) 日本看護協会「2025年病院看護実態調査報告書」
既卒採用看護職員の離職率 16.1%(2024年度) 同上
正規雇用看護職員全体の離職率 11.0%(2024年度、前年度比0.3ポイント低下) 同上
看護師の年収 524.7万円 厚生労働省 job tag「看護師」(令和7年賃金構造基本統計調査をもとに加工)
看護師の有効求人倍率 2.38倍(令和7年度) 同上

「辞めたい」と感じていることと「実際に辞める・辞めない」は別の問題です。まずは今の気持ちがどこから来ているのかを整理し、次に辞める場合のルールを確認する、という順番で考えることをおすすめします。

なぜ1年目で辞めたいと感じるのか——リアリティショックの正体

看護管理学の研究分野では、学生時代に抱いていたイメージと、実際の臨床現場との間に生じるギャップを「リアリティショック」と呼びます。勝原裕美子氏らが日本看護管理学会誌で発表した研究では、新人看護師のリアリティショックを7つの型に分類しています。

同研究では「程度の差こそあれ、看護師であれば誰にでもリアリティショックが起きうる」と結論づけられています。つまり、1年目で感じる「こんなはずじゃなかった」という気持ちは、特別に自分だけが弱いから生じているわけではなく、新人看護師に共通して起こりうる現象だということです。

所長モヤ

所長モヤのひとこと

「辞めたいと思ってしまう自分はダメなのではないか」と考える必要はありません。研究で明らかになっているとおり、ギャップを感じること自体は看護師という仕事に共通する反応です。

知恵袋などでよく見る「辞めたい理由」を整理する

「看護師 辞めたい 1年目」「看護師 辞めたい 知恵袋」といった言葉で検索する方が知りたいのは、多くの場合「自分と同じような状況の人が、どういう理由で、どう考えて行動しているか」という情報です。先ほどのリアリティショックの7類型を踏まえると、1年目の「辞めたい」は大きく次のような方向に整理できます。

辞めたいと感じる方向 具体的な内容の例 考えられる対応の方向
技術・知識が追いつかない 先輩と比べて処置に時間がかかる、インシデントへの不安が強い 指導担当者や教育委員会に、具体的にどこで時間がかかるかを伝えて相談する
人間関係・指導方法への不安 先輩からの指導が厳しく感じる、相談しづらい雰囲気がある 直属の上司以外(看護部長・相談窓口など)にも相談先を広げる
勤務体系への負担 夜勤を含む交代制勤務に身体が慣れない 産業医や健康管理部門に、体調面の相談をする
仕事そのものへの違和感 想像していた看護の仕事と現実の業務内容が違う 配属先の変更(院内異動)が可能か、まず院内で確認する

ここで大切なのは、「辞めたい」という感情をそのまま「今すぐ退職する」という結論に直結させず、どの方向の悩みなのかを一度分けて考えることです。技術面の不安であれば時間の経過や指導の受け方で変わる可能性がありますが、職場の体制そのものに起因する悩みであれば、院内での解決が難しいこともあります。

辞める前に確認しておきたい法律と職場のルール

「今すぐ辞めたいけれど、言い出し方が分からない」という悩みも多く寄せられます。ここでは、退職に関する基本的な法律のルールを確認します。

民法627条1項は、期間を定めない雇用契約について次のように定めています。「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。」つまり、正職員として期間の定めのない雇用契約を結んでいる場合、法律上は申し出から2週間が経過すれば雇用契約が終了する仕組みになっています。

確認する項目 内容
雇用契約の期間 期間の定めがない契約か、1年契約などの有期契約かを確認する
法律上の退職ルール 民法627条1項により、期間の定めのない契約は申し出から2週間で終了する
就業規則の記載 「1か月前までに申し出ること」などの規定がある場合も多いが、トラブルを避けるため早めに相談するのが現実的
相談先に迷った場合 総合労働相談コーナー(厚生労働省、全国の労働局・労働基準監督署内に設置)に無料で相談できる

就業規則に「退職は1か月前に申し出ること」などと書かれている病院も多くありますが、実際にどう進めるかは職場との関係を考えながら判断する場面も出てきます。自分だけで判断に迷う場合は、厚生労働省が設置している総合労働相談コーナーのような公的な窓口であれば、予約不要・無料で、労働条件や退職に関する相談を専門の相談員に行うことができます。

所長モヤ

所長モヤのひとこと

法律上のルールを知っておくことは、実際に強く主張するためではなく、「自分には退職を申し出る権利がある」と落ち着いて考えるための土台になります。まずは直属の上司や看護部に相談するところから始める方が多いです。

今の職場に残る場合と転職を考える場合、判断の軸

1年目で辞めたいと感じたときの選択肢は、「今の職場に残って環境を変える」「院内で異動する」「転職する」の大きく3つに分かれます。どれが正しいというものではなく、悩みの方向によって向き・不向きがあります。

選択肢 向いているケース 確認したいこと
今の職場に残り、指導の受け方などを調整する 技術面の不安が中心で、人間関係自体には深刻な問題がない 教育担当者やプリセプターに、具体的な困りごとを伝えられているか
院内で異動する 今の病棟・診療科と自分の希望が合っていないと感じる 看護部に異動の希望を伝える仕組みがあるか
転職を検討する 職場の体制そのもの(人員配置・指導体制など)に起因する悩みが大きい 1年未満の在籍期間であることを踏まえ、次の職場でも早期に馴染めるか

転職を考える場合、1年目であっても看護師資格があれば求人への応募自体は可能です。ただし在籍期間が短いことは、次の面接で聞かれる可能性が高いため、「なぜ辞めたいのか」を自分の言葉で整理しておくことが次の一歩につながります。転職エージェントを使って情報収集する場合の選び方は、看護師の転職エージェントの選び方でも整理していますので、あわせて参考にしてください。

心身の不調を感じているときに優先したいこと

夜勤や新しい環境への適応が重なり、眠れない、食欲がない、気分が落ち込むといった状態が続いている場合は、転職や退職の判断よりも先に、心身の状態を整えることを優先してください。先ほどのリアリティショックの研究でも、ギャップへの対応が難しい場合は疲労感や気分の不安定さにつながりうることが指摘されています。

職場の産業医やメンタルヘルス相談窓口がある場合はまずそちらに相談し、職場に相談しづらい場合は、かかりつけの医療機関や、厚生労働省の総合労働相談コーナーのような公的な窓口も選択肢になります。転職はあくまで選択肢のひとつであり、心身の不調そのものを解決する手段ではありません。無理をして働き続けることも、不調を抱えたまま転職活動を進めることも、どちらも避けたい状態です。

まとめ

看護師1年目で「辞めたい」と感じることは、公表されているデータや研究からも、特別に珍しいことではないとわかります。

「辞めたい」という気持ちをすぐに結論に結びつけず、まず悩みの方向を整理し、必要であれば公的な窓口や院内の相談先を使って落ち着いて考えてみてください。

出典

※本記事は公開情報をもとにした一般的な情報の整理です。給与・求人状況は地域や時期で変わるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。